ワーキングセットとは?活用方法と作り方
仕事に合わせたAIの環境を用意するしくみです。基本の考え方から、業務での使い分け、新規作成と共有まで順を追って説明します。
1ワーキングセットとは何か
ワーキングセットは、AIに任せたい仕事に合わせて「ふるまい・指示文・モデル・道具・資料」をまとめた環境です。たとえば営業向けに、回答の書き方、使うモデル、調査の道具、製品資料を用意しておけば、毎回それらを一から準備する手間を減らせます。
本質は、繰り返す仕事の前提をそろえることです。「今回、何をしてほしいか」は会話で伝え、「いつも、どう仕事をしてほしいか」はワーキングセットに設定します。まず用意されている環境を使い、同じ指示や準備を繰り返すようになったら、自分の仕事用に作ると便利です。
| 要素 | 決めること | 営業アシスタントの例 |
|---|---|---|
| ふるまい | 通常の対話をするか、タスクを分解して進めるか | まずはチャット型で提案の下書きを相談する |
| モデルへの指示文 | 毎回効かせたい役割・口調・回答の前提 | 結論から書き、不明な価格は推測しない |
| モデル | この環境で使えるモデル | 業務に必要なモデルを選ぶ |
| ツール | 検索や文書作成などで使う道具 | 会社で利用できる検索・資料作成の道具を設定する |
| ナレッジ | 回答に使う、繰り返し参照する資料 | 最新の製品説明・料金表・FAQを登録する |
2会話やモデルとの違いを知る
モデルは回答を考えるAI、会話は個別の相談のやりとり、ワーキングセットはその相談に使う環境です。同じ仕事向けの環境を使っても、案件ごとの条件は会話で伝えます。
| 場所 | 向いている内容 | 例 |
|---|---|---|
| ワーキングセットの指示文 | 毎回共通するルール | 営業向けに簡潔に回答し、確認事項を最後にまとめる |
| 会話の依頼文 | 今回だけの目的・相手・条件 | 今回は従業員50名の企業向けに、導入提案を作る |
| ワーキングセットのナレッジ | この環境で継続して検索・参照する資料 | 製品仕様書、社内規程、業務マニュアル |
| 会話への添付 | 今回の依頼で扱う個別の資料 | 今回の商談メモや、比較したい見積書 |
モデルを選ぶだけでは、会社の資料や業務ルールが自動でそろうわけではありません。必要な情報をどこに用意するかまで決めることで、仕事に合った環境になります。
3用意されているワーキングセットから使ってみる
最初から新しく作る必要はありません。利用できるワーキングセットを選び、目的に近い環境で試します。表示されるものは会社の設定や利用権限によって異なります。
| やりたいこと | 入口の例 | 次に読むガイド |
|---|---|---|
| 相談・文章の作成や推敲 | チャット | モデルの選び方 |
| 登録した資料を調べて回答を得る | RAG | 社内ナレッジの使い方 |
| 複数の作業をまとめて依頼する | AIエージェント | AIエージェントの調整方法 |
| 出典を確認しながらテーマを深く調べる | ディープリサーチ | ディープリサーチの調整方法 |
| 画像を作成する | 画像生成 | 画像生成の機能 |
これらは用途に合わせて用意された環境です。新規作成時に選ぶ基本のふるまいは「チャット型」「エージェント型」の2つで、用途に必要なモデルやツールを後から組み合わせます。
4業務ごとの使い分けを考える
分ける目安は、役割・いつもの指示・使う資料・利用する人が変わるかどうかです。案件名が変わるたびにワーキングセットを増やすより、共通の環境で案件ごとに会話を始めると管理しやすくなります。
| 用途 | 共通で用意するもの | 会話で伝えること |
|---|---|---|
| 営業提案の下書き | 丁寧な文体、製品仕様、料金表、FAQ | 提案先の状況、課題、予算、提案の用途 |
| 社内規程の問い合わせ | 規程を根拠に回答する指示、最新の就業規則や申請手順 | 確認したい制度や具体的なケース |
| 市場調査・競合比較 | 調査に使う道具、出典と確認日を明記する指示 | 今回の市場、比較軸、対象期間、除外対象 |
| 会議資料の準備 | エージェント型のふるまい、利用できる調査・資料作成の道具 | 議題、読み手、結論に必要な材料、資料の形式 |
まずは一つの業務から始めましょう。「営業全般」のように広く作るより、「製品の問い合わせ回答を作る」のように用途を決めると、必要な指示や資料を選びやすくなります。
5新しいワーキングセットを作る
アプリの「ワーキングセット一覧」を開き、「新規作成」を押します。次の3段階で作成します。作成ボタンが表示されない場合や権限のメッセージが出る場合は、管理者に作成権限を確認してください。
- 「ふるまいを選ぶ」:相談や文章作成を中心に使うなら「チャット型」、作業を分解して道具を使いながら進めたいなら「エージェント型」を選び、「次へ」を押します。ふるまいは後から変更できます。
- 「名前を付ける」:「製品問い合わせアシスタント」など、用途が伝わる名前を入力します。説明は任意です。「次へ」を押します。
- 「確認」:ふるまい・名前・説明を確認し、「作成する」を押します。続いて編集画面で、必要な指示や道具を設定します。
名前を付けただけで、社内資料が登録されたり、必要なツールがすべて使えるようになったりするわけではありません。次の設定まで行ってから試してください。
6作成後に指示・モデル・道具・資料を設定する
編集画面では、用途に必要な項目を設定して「保存」を押します。初めて作る場合は、基本の指示とモデルから始め、必要になった道具や資料を追加すると調整しやすくなります。
| タブ | 設定する内容 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 基本 | 表示名や説明など | 利用者が用途を判断できる名前にする |
| ふるまい | チャット型/エージェント型と「モデルへの指示文(任意)」 | 指示文は毎回の送信に効きますが、会話本文には表示されません |
| モデル | 利用するモデルの設定 | 用途に合うモデルを選び、実際の会話画面で選択肢を確認する |
| ツール | 利用できる外部ツールの設定 | 共通で設定するか、モデルごとに設定するかを選ぶ。必要な道具が選択されているか確認する |
| ナレッジ | 資料検索の有効化と資料の管理 | 「ナレッジ(資料検索)を有効にする」に加え、ツールの「RAG 検索」もONにする |
| 公開 | 誰に公開するかと利用許可の確認 | 公開範囲の変更は管理者向け。次の「共有する前に確認すること」を参照 |
| 詳細設定 | 内部識別子などの詳細な項目 | 通常の作成では、ウィザードで設定された内容を不用意に変える必要はありません |
ナレッジを使う場合は資料も登録し、検索できる状態になったことを確認します。詳しい手順は社内ナレッジの使い方を参照してください。エージェントの裏方モデルやディープリサーチの品質設定には、会社共通の管理者設定もあります。
7指示文を書き、実際の仕事で試す
指示文には、役割・回答の順序・根拠の扱い・分からないときの対応を書きます。下の例をコピーして「モデルへの指示文(任意)」に貼り付け、業務に合わせて調整してください。
製品問い合わせ用の指示文
あなたは製品の問い合わせ回答を支援するアシスタントです。 結論、根拠、確認が必要な点の順に、丁寧で簡潔な日本語で回答してください。 登録資料に基づく説明では、参照した資料名を示してください。 資料に書かれていない価格・仕様・提供時期は推測せず、確認が必要と伝えてください。 相手の条件が不足している場合は、回答に必要な条件を確認してください。
作成した環境を試す依頼
登録した製品資料を使って、従業員50名の企業への問い合わせ回答案を作ってください。 相手が知りたいのは、利用できる機能、導入の流れ、料金です。 資料で確認できた内容と、担当者への確認が必要な内容を分けてください。 そのままメールの下書きとして使える形にしてください。
- 意図したワーキングセットを選び、新しい会話で試します。
- 必要なモデルと道具が使えるか、登録した資料を参照できるかを確認します。
- 文体・回答の順序・出典が指示どおりか、分からない内容を推測していないかを確認します。
- 改善したい点があれば、指示文・資料・道具のうち関係するものを一つずつ見直し、保存して再度試します。
8共有する前に確認すること
ワーキングセットに登録したナレッジは、そのワーキングセットを使える人の会話で検索される共有資料です。資料を登録する前に、誰が使える環境なのかを確認してください。
| 設定 | 意味 | 確認先 |
|---|---|---|
| 公開範囲 | 自分のみ/全員/組織/グループなど、誰に共有するか | 公開タブ。変更できるのは管理者で、権限がない場合は自分のみへの公開となります |
| 割当 | 組織・グループ・メンバー単位で、使わせる/使わせないを決める利用許可 | 管理者がテナント管理の「組織・権限」で確認します。明示拒否は他の許可より優先されます |
| 資料の登録権限 | 誰が資料を追加・管理できるか | 資料を検索できることと、追加できることは別です。ナレッジの管理画面で確認します |
まず自分用の環境で内容を確かめ、チームで使う場合は管理者と公開範囲・割当をそろえます。共有した後は、実際の利用者の権限でも必要なワーキングセットや資料を使えることを確認します。
9困ったときの確認と、次の活用
期待した動きにならないときは、会話の依頼文だけでなく、今選んでいる環境と設定も確認します。
- 作成・編集できない:作成権限や編集権限を管理者に確認します。システム標準のワーキングセットでは、一部の設定を変更できません。
- 共有したのに相手に見えない:公開範囲に加え、管理者が設定した割当や明示拒否を確認します。
- 資料を参照しない:資料の登録状況、ナレッジの有効化、RAG 検索コネクタの設定を確認します。
- 過去の会話が見つからない:「当ワーキングセットのトピックのみ表示」が有効な場合、その環境で作成された会話に表示が絞られます。
環境が整ったら、ディープリサーチの調査範囲・深さの調整や、AIエージェントの依頼・モデル・利用量の調整へ進んでください。実際の成果物はレポートとPowerPointの出力例で確認できます。
本ガイドはワーキングセットの作成・編集画面と関連ヘルプをもとにしています。利用できるモデル・ツール・編集項目は、会社の設定や権限によって異なります。